2020年12月5日、12日に人数を分けて開催する第9回主体性量的評価研究会では、以下の内容について議論したいです。
よろしくお願いいたします。


事例評価の経験から導かれた主体性評価のポイント

2020123

 

l  掲げている「目標の重要性」、「目標と行動の関連性」を吟味する。

l  重要性:その目標がその人が望む(であろう)生活につながるのか否かがキーポイント。

l  「目標の重要性」、「目標と行動の関連性」を検討するには、本人の身体機能、動作能力、ADL、生活環境、価値観などを含めて理解することが必要。複雑な病態・背景を一定の診かたで統一したい。

l  「本人の考え」と「周囲の評価者の考え」のギャップも見ていく。

l  問題点や解決策に関する考えのギャップがあるときに、専門職のアドバイスを否定せずに聞く耳を持つか、否定的で聞く耳を持たないかも、本人の認識を確かめる方法になる。

l  「思っていることは評価できないので行動で評価するしかないのではないか?」と言われることがあるが、言っていること(≠思っていること)」と「行動」から評価する。

l  「健康的な生活」「健康的な活動」「介護保険として不適切」という話しと、「主体性」の話しは異なる。

l  主体的な目標・行動の選択の4条件を想定

1.     選択肢がある

(反対)選択肢が無い:環境的に無い、存在しない、など

 (対応)環境を作る、整えるなど「環境因子」への働きかけ

2.     それを本人が知っている

(反対)知らない:思いつかない、あきらめている、など

 (対応)教える:周囲の人が幅広く選択肢を知って、伝える「教育」

3.     選択できる状況にある

(反対)その状況にない:今じゃない、ひとりじゃできない、できるところまでの足が無い、など

 (対応)その状況を作る:できる時期にやる、付き添うなどのサポート、できるやり方を指導など

4.     本人が望んで選択した

(反対)望まない選択をしている、望むが選択して行動できない:本当はやった方が良いのだけど家族に迷惑をかける、(「面倒くさい」は、行動しない選択が勝った?)など

(対応)関係性の中での選択を尊重しながら、調整して、選択しやすいようにする。選択肢の魅力を上げる、など

「不健康な生活」を上記のプロセスで選択したのなら、それも本人の主体性か?

逆に、ある行動をやった先には、その人が望む(であろう)生活につながるにもかかわらず、やれる方法(選択肢)を知らない、あきらめているなどで「やらない」のであれば、その人は「行動と望む生活のつながり」が見えていないという判断になる。その場合は教育的指導になる。

l  主体性評価では、「○○な人」=「主体的な人」をイメージしている。新しく概念を説明する作業をしており、いわゆるラベリングをしようとしている。行動科学の「原因は行動のあとにある」という考え方ではなく、医学モデルの考え方である。

l  「客観的に自分と置かれている環境を理解できていて、意欲、自分次第という考え、自信が揃っている人」=「主体的な人」まではモデルで説明できている。

 

【困難なポイント】

l  ひとつの質問・回答で評価されるのは、「主体性5要素」のひとつだけではなく、複数の要素にまたがる。「質問・回答」と「評価される要素」は、1:1でなく、1:4にもなる。

l  目標について問い詰めて、目標が出なければ援助が進まないように考えられてしまう。しかし、01段階は適切な目標が言語化できない場合も多い。出なかったら、問い詰めず、そこからは「自分でできそうなことからしてみよう」を目指していき、時間をかけることが多い。

l  高次脳機能障害や失語症があり、処理速度や耐久性が低いと一気にすべての質問を進めることができない。

l  目標や望むことに対して多方面の複数のタスクを同時に一直線で進めていけないこともある。目標に向けての歩みも、ひとつひとつになり、「歩行についての問題点が考えの多くを占めてしまい、歩行の練習を進めながら、言語の目標も立てて練習していくということまで考えられなくなる」「リハビリテーションに通って課題をこなしながら、生活上必要な手続きを同時に進めていくことができない」など。

                                                                                                

【評価項目】

l  生活歴、仕事歴、趣味・活動歴、家族の思い

l  現在のこと(楽しい・できている・困っている・心配・迷っているなど)

できていることについての意思決定:やり方、やる時間などを「自分で全て決めてやっている」「他人に全て決めてもらっている」

l  機能、能力の評価

l  障害と生活の関連

 

【掲げる目標と行動から主体性を評価する】

①「掲げている目標の重要性」

②「目標と行動の関連性」

を吟味する。

【目標の重要性の評価】

l  目標・希望・課題・目的などを聞く:

Ø  「日常的なもの(目先・1年後など)」

Ø  「今の状態からどのような自分に変化していたいか」

Ø  「長期的な大きなもの」

Ø  「望む生活・理想の生活」

l  目標や課題の理由を聞く:

Ø  「どうしてそれをしたいのですか?」:目標の重要性を評価(認知、意欲、自分次第、価値観)

l  目標が表明された状況の評価:

1.     目標が何も出てこない場合

2.     周囲の誘導でなんとか出てくる場合

3.     質問されて自ら出てくる場合

4.     質問されずに自ら出てくる場合

がある。

Ø  1.目標が出てこない:第01段階。

Ø  2.誘導でなんとか出てきた:目標の言語化ができていないので、あらためて能力、環境を踏まえて一緒に考える。

Ø  立派な目標が出てきても、口で言うだけで「できていない」場合は、試行錯誤を「している」か?→していなければ:第1段階以下、していれば:第2段階以上?

 

【目標と行動の関連性】

l  目標や課題をサポートの要否の度合いで分類する。

a.    サポートなしでも できること

b.    少しのサポートで できること(家族やヘルパーさんのサポート)

c.    かなりのサポートがあれば できること(専門職や複数人によるサポート)

d.    特別なサポートがあれば できること(日常的にはできないサポートや高額なサポート)

e.    どんなサポートを受けても できないこと

 

“a”の回答が多い場合

「第1段階」が想定される 

→追加質問として、してみたいことを「やってみてはどうですか?」に対して

「できない」「やってもらいたい」などの返答があれば、

『できることもできない、やってもらいたい』第1段階が濃厚。

“b, c, d”の回答が多い場合

→追加質問として「どうすればそれができると思いますか?」の問いかけをして、

現実的な受けるべきサポートを自分で言えれば、『客観視ができている』第23段階が濃厚であるが、行動に移していなければ第1段階。

“e”が本人の中でメインの目標である場合

「第0段階」~「第1段階」が濃厚

→例:半年以上前からの重度片麻痺で「手が動くようになるために機能訓練したい」

 

生活期に目標・希望が「回復困難な身体機能」にフォーカスしている:第01段階。

生活期に目標・希望が「活動・参加」にフォーカスしている:第2段階以上。

目標・希望が「活動・参加」にフォーカスしていれば、「回復困難な身体機能」向上を並行して進めていても第2段階以上。「回復困難な身体機能」向上をしていけないわけではなく、「回復困難な身体機能」にフォーカスして「活動・参加」の拡大が阻まれていることが問題。


 

下記については、

ü  「本人の考え」と「周囲の評価者の考え」のギャップも評価する。ギャップが大きいと認知の段階が低く、ギャップが少ないと自分の障害について客観的に理解できている。

ü  評価の基準が「病前の自分」に置いているのか、「病後の近い時期の自分」に置いているのか?も評価する。
2020.12 目標評価シート
 

l  目標や課題へ向けた進め方・目標や課題へ向けて何が必要か:

Ø  「うまくできているところはどこですか?」:現状の能力の評価(認知、自信)

Ø  「うまくできていないところはどこですか?」:現状の障害・困難・課題の評価(認知)

Ø  「どうなったらうまく(対処)できると思いますか?」:目標と現状の違いを埋める方法、将来像のイメージ(認知)

Ø  「そのためには、何が必要ですか?」:目標と現状の違いを埋める方法(認知)

Ø  「そのために自分で頑張ることは何ですか?」:目標と現状の違いを埋める方法

Ø  「どんなステップを踏む必要があるでしょうか?」:できる道筋の認識

Ø  「まず何を当面していきますか?」:当面の目標

Ø  「いつころまでにできるようになると思いますか?」:予後予測

Ø  「今後どうなっていくと思いますか?」:予後予測

Ø  「どんな説明を受けてきましたか?」:予後予測

l  一旦立てた目標・課題について試行錯誤の中で進めていって、

²  うまくいった

²  うまくいかなかった

²  やらなかった

を確認して、再び、目標や課題へ向けた進め方・目標や課題へ向けて何が必要かを確認する作業になる。

Ø  「やってみてどうでした?」:うまくいった、うまくいかなかった、やらなかった。その原因をどう考えて、どうやって対処していくか?など

上の質問、「目標と行動の関連性」の確認を繰り返すことになる。

さらに、目標へ戻り、重要性を再確認する。重要性の低いものは置いておき、重要性の高い「やっていくべきこと」を決めていく。



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