参加者の所属:
昭和大学医学部リハビリテーション医学教室
森山リハビリテーションクリニック
品川区心身障害者福祉会館訓練センター
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主体性回復モデルの論文を参照しながら、主体性の5要素と回復の5段階についてのおさらいをした。
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準備した資料に沿って、「研究進行見込み」「主観的尺度の開発の仕方(ICR-webや書籍を参考)」「研究スケジュール」について説明した。
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これまで検討した尺度の中で、NAS-J-Dに含まれている下位尺度が主体性回復軸の要素に近いと考えられ、NAS-J-Dと試用したケースについて解説した。
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NAS-J-Dの「Locus of control」は主体性回復軸の「自分次第という考え」、「自己効力感」は「自信」、「自尊感情」と「障害受容」は「新たな価値観」と対応すると考えられるが、質問項目を見ると、主体性研究にそぐわないものもある。
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「Locus of control」が高まり(自分の回復は自分次第)、次に「自己効力感」が高まってくる(第2から3段階へ)。さらに進むと、価値観の変化から「自尊感情」と「障害受容」が上がってくる(第3から4段階へ)傾向がありそう。
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しかし、第0段階と思われる人と第4段階と思われる人のスコアがほぼ同じになる。なぜなら、どちらも「自分でやっていけます、大丈夫です」と本人が感じている段階であり、見かけの自己効力感や自尊感情が高いのは同じであるため。
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参加者より以下のような、質問、意見、議論があった。
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主観の評価 と 実際の行動のギャップを考えるべきか。
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思いがあっても、機能があっても、行動が伴わない場合はどう考えるか。
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思いも、行動も評価するべきか。
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やれる能力あって、「やる」といっているのに 行動が伴っていない場合は?
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行動が出るまで待つ時間を決めて、行動が伴っているかを評価するのか?
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行動の評価は? → 行動分析学の考え方を教示。
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「原因」があって「行動する」と考えるのは、医学モデルであり、ラベリングになる。「主体性がある」から「主体的な行動をしている」と考えるのがラベリング。「主体的な行動をしている」と「主体性がある」と判断されるので、これでは循環論になってしまう。
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行動の後の、好子や嫌子の出現や消失に注目して行動が起きた・起きない理由を考えるのが行動分析学的考え方。
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自分の思いだけでは主体的になれない場合があるのではないか。まわりに迷惑をかけたくない。まわりのこと優先。まわりの環境を見ないと本人の主体性を判断できないのではないか?
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愛情があっても示せないことや、タイミングもある。
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想いと行動と環境について多面的な評価が必要ではないか。
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○○さん。家族が病気になって、家族優先の選択となった。周りの環境も含めて、自分自身の意思決定を決断できれば、主体的なのではないだろうか。
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量だけの評価ではないかもしれない。どうしても質的評価が必要な場面もあるのではないか。
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行動が出ない時の背景を考えるべきではないだろうか。
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まわりのことを考えてしない場合(音楽聞きたいけど周りに迷惑だから聞かない。しかし、そういうことは置いておいていいのかもしれない)がある一方で、主体性の要素である「自信」が無くてできない場合や「他人任せ」でできない場合もあり、その見極め、評価が必要。
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行動という結果から判断しようとすると、困難な場合がある。やろうとしたことをやる意思があっても、その準備に思ったより手間取り、決めたタイミングで始められない場合もある。離乳食開始に、安全第一を考えると、準備に時間がかかって進まないことがあった。
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決断したか、否かで考える?
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やれていることとやれていないことがあり、どれを基準に考えるかで変わりそう。
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主体性3要素だけだと、小さい行動にも当てはまるが、他の2要素の「価値観」「認知」は長期の経過の中で本人の根幹にかかわる変化ではないか?
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長期に障害のある人と関わった経験がある人は、モデルを見て、ある程度の段階が評価できる。
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経験がない人にも評価できるものにしたい。
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量的に評価する際には、シンプルに、おおまかに段階が分かればといいと思う。
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木彫りの好きな人がいて、「やる」といっても「一人で木を買いに行けない」と、行動が進んでいない。準備をすすめるにはどうするか? 周囲が買いに行ってしまうと依存傾向になり、主体的な生活が進まないのではないかと危惧された。
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しかし、この人は第2段階だから、「伴走」の考え方で、最初の木を用意するところは本人と話したうえで、依頼を受ければ準備してあげてもいいのでは?
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やりたいことがあったとき、その準備を自分でしたか?ほかの人がおぜん立てしたか?ほかの人にやってもらったとしても自分で頼んだか?なども、主体性の評価につながるかもしれない。
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第1回研究会を終え、次回以降検討する課題についての考えを以下に示します。
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量的研究を進める際に参考になるのは、実際に「主体性回復モデル」をそのままモデルとして臨床で使ってみることかもしれない。
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使ってみることで、「何の情報から」「どう考えて」段階を判断したかに気づくのではないか? 判定例を持ち寄ってもらい、判定の妥当性を多職種で議論する。
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森山リハビリテーションクリニック院内で使うとともに、品川区心身障害者福祉会館や訪問看護ステーションのセラピストにも使ってもらって、考えたい。
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現状での「スケールの試案」を検討する。研究としてもしっかり検証でき、臨床でも使える形にする。
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混合研究法を想定しており、質的研究から続く量的研究として考える。下位尺度は主体性モデルの5つの回復軸「認知」「意欲」「自分次第という考え」「自信」「新たな価値観」を想定。
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専門職の判断を入れないと障害のある人の主体性を判断できないと思われる。理由としては、質的研究段階の議論で、「主体性」に関して、本人の状態の評価や判断、進むべき方向などには、「専門職の判断」が関わっていると考えられたため。量的な評価に「専門職の判断」を入れない場合、おそらくNAS-J-Dと同様に、第0段階と思われる人と第4段階と思われる人のスコアがほぼ同じになってしまうと考えられる。
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量的なスケールがうまくいかなくても、「モデル自体の利用」が臨床に有用であることを示す量的な根拠も同時に進められるとよい。
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モデルの有用性を示すためのデザインを検討する。←帝京大学大学院公衆衛生学研究科生物統計学の教授にも相談する。
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